ちいさいおうち

ホーム > ル・リアン ミュゼ > 絵本の部屋 > ちいさいおうち

アメリカで1942年に出版され、

日本では1954年(昭和29年)に第1版が発行された、

ロングセラーの絵本です。

この本は、これまで3つのパターンで出版されています。

それぞれ、本の大きさや活字、日本語訳などが微妙に違います。

*興味のあるかたはこちらをどうぞ

「古本 海ねこ的 日々の暮し」

————-冒頭の部分を引用します———–

むかしむかし、ずっといなかの しずかなところに

ちいさいおうちがありました。

(中略)

「どんなにたくさん おかねをくれるといわれても、

このいえを うることはできないぞ。

わたしたちの まごの まごの そのまた まごのときまで

このいえは、きっとりっぱに たっているだろう」

————

このちいさいおうちは、

丘の上から、周りの景色をながめ、四季を過ごしながら

幸せにくらしてきました。

夜になると、ずっと向こうの遠いところに

街の明かりが見えます。

ちいさいおうちは、

「まちって、どんなところだろう。

まちに すんだら、どんなきもちがするものだろう。」

と、思っていたのです。

ある日、自動車が走るようになり、

広い道路ができ

小さい家やら大きい家やら

アパートやら公団住宅やら、高いビルやらが

ちいさいおうちの周りにできていきます。

電車が高架線を行ったり来たりして、

地下鉄ができて

人々は、どんどん忙しく駆け歩くようになりました。

季節など感じることもできず、

一年中、いつも同じような毎日。

ある春の日、その前を通りかかった女の人が

ちいさいおうちに気が付きます。

ほぼ、同じ構図で、同じ大きさで描かれた「ちいさいおうち」。

それを取り巻く環境の変化の目まぐるしさが、

ページをめくるたびに、印象的に目に入ってきます。

「まちにすんだら、どんなきもちがするのだろう」

そう考えていた「ちいさいおうち」は、

図らずも、周辺の環境がどんどん街になっていくことになるのです。

幸せなくらしって、なんだろう。

読み終わった後、じっくり考えてみたくなる本です。

※上記商品リンクはAmazonアソシエイトのリンクを使用しています。